NOAH
「最近良い子になったわねえ。それもこれも〝あの人〟のせいかしら~」

「なっ…」
 
レイは真っ赤になって反論しようとしたが…。悔しそうにしながらも言葉を飲み込んだ。

「ま、まあ、そうかもな」

「あらあら」
 
ヒオウは更にニマニマする。

「良い傾向ね。本来のあんたの性格が戻ってきたんじゃない?」

「…そんなこと、ねえけど…」

「んふふ。……でも、ね」
 
ヒオウは視線を動かし、監視カメラの位置を確認する。

監視している者達は優秀だ。声が聞こえなくても口の動きだけで何を話したのか分かってしまう。
 
カメラから顔を隠し、小さな声で囁いた。

「あんたがあの人を好きになるのは構わない。けれど、絶対にヒューイに知られては駄目よ。痛い目に合わされるのはあんただけじゃないんだから」
 
レイは僅かにヒオウに視線を向けた後、小さく頷いた。
 
解っている。
 
きっと彼女も、十分にそれを理解している。
 
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