NOAH
所々、赤や青の小さな光が漏れている。それが、ずっと下まで続いていた。下を覗き込んでみたが、底は暗くて何も見えない。かなり深いと見た。

「ここは、ディージェ様の研究されていた、もう一つのものが眠っている場所です」

「…一体何だ?」

「…こちらに」
 
研究員は壁伝いにある狭い階段を下りていく。
 
レイもそれに続いた。

しばらく下りていくと踊り場があり、壁側には大きな窓があった。中には白い壁に覆われた明るい部屋が見える。何かの研究室のようだ。
 
研究員はその部屋には入らず、更に下へと降りていった。
 
ずっと降りていくと、どうやら最下層まで降りてきたらしく、広く平らな床がどこまでも広がっていた。

周りには灰色のコンピュータが並んでいるが、動いている気配はない。

「何だ、ここ……」

正面に数段の階段があり、その上には、直径3メートル程の円盤が見えた。

「レイ様、小さい頃に一度おいでいただいているのですよ。……覚えておられませんか」

「いや……」

まったくそんな記憶はない。

それもそのはず。その記憶は催眠術によって封じ込められていたのだ……。

研究員は咳払いをしてから、階段を上がった。

「これが、ディージェ様の残された物です」

そう言われ、レイも階段を上がる。ただ丸い、黒っぽい円盤。

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