NOAH
「ふむ…。やはりタダでは発動しないか」
 
ボソリと呟く。
 
しばらく思案した後、ヒューイは階段を登ってきて、レイを見下ろした。

「これの名は『NOAH』という。お前の母が名付けたのだよ」

「……え」
 
レイは、その名前に反応した。
 
──『NOAH』?

まさか、研究室で見た『NOAHプロジェクト』というのは、これのことか──?

「ある星に伝わる物語から取ったそうだ。どのような話かは分からんが…」
 
ヒューイの話をまるで聞かず、レイは暗い上部を見上げた後、円盤に目を落とした。

「…ノア…」
 
その、瞬間。

 
ブウウウウン。
 
足元から低いモーター音がした。
 
見ると、レイの足元だけが、丸い光で囲まれていた。

「なんっ……」
 
言葉を発する前に、体全部が光に飲み込まれた。
 
そして次の瞬間には、レイの姿はどこにもなかった。
 
そこにいた者が呆気に取られる中、ヒューイだけは大きく目を見開いて嬉々とした表情を浮かべていた。
 
そして、辺りを見回す。
 
灰色だった壁が、次々と白い明かりを照らし出していった。

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