NOAH
息を呑んでその光景を眺めていると、直径30センチくらいの球体が目の前に飛び込んできて、止まった。
 
深い青に包まれた球体。
 
ところどころに白い筋があり、茶色や緑、黄色などの色をした形を隠したり、覗かせたり…。

「…これ、は…」
 
レイは、それにゆっくりと手を伸ばした。
 
触れるギリギリのところで手を止め、球体を眺める。

これは、惑星だ。
 
しかしリトゥナではない。

リトゥナはこんなに鮮やかな色をしていない。

本でしか見たことはないが、海の面積が極端に少ないのだ。圧倒的に砂の地が多く、薄い茶色の……破滅へ向かう色をしていた。
 
では、この星はどこの……。

 
球体が、消えた。
 
そこから暴風が吹き荒れ、目も開けていられないような状態になる。

翳した手の隙間から薄く目を開けて辺りを覗うと、レイの周りを生き生きとした森や、キラキラ光る青い海や、様々な形をした建物等が光速で通り過ぎていった。
 
見たこともない景色。
 
だが、そこが先程の青い惑星であることを漠然と感じていた。
 
みるみる景色は通り過ぎ、風はいっそう強まった。
 
もう目は開けていられない。
 
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