NOAH
しかし、リップルの顔がサッと青ざめるのを見たヒオウは、思い切り彼の頬を殴りつけた。リップルは後ろによろめく。

「ヒオウ!」

「黙ってろ!」
 
ヒオウの一喝に、ターラは思わず身を怯ませる。その隙にもう一度リップルに掴みかかった。

「何でこんなことをした! あんたにとってもノアは大事な仲間のはずだ! その仲間をどうして裏切ったんだよ!」
 
リップルは青ざめるばかりで、何も答えない。それがヒオウを苛立たせた。

「ヒューイに捕まったらどうなるか! 今頃あの二人がどうなってるか…!!」
 
激しくリップルを揺さぶる。
 
ヒオウの言葉に、リップルは徐々に表情を崩していった。そして。

「すまないっ…! すまないっ…!」

首を項垂れ、必死に謝った。そんな夫の姿に、トモはオロオロするばかり。
 
ターラは話が見えたのか、青ざめながらリップルに飛びついた。

「リップル、お前、一体何をしたんだい!」

「ああ、ターラ……本当にすまない……!」

「何をしたんだよ!」

「…ヒューイに……ここの情報を色々流したんだ……。最近は……ルヴァンニール博士が遺したものについてや……ノアと、レイの関係を、聞かれた……」

「…なんで、そんなことをしたんだい!! あの子のことを、妹のように想っていたお前が…!」
 
声を震わせるターラ。
 
それに、リップルは涙ながらに答えた。

「トモの……声を、取り戻してやるからと……。子供の面倒も見ると、言われて……」

「…ああ…」
 
ターラは天井を仰ぎ見た。そして、体を震わせながら涙を流す。

< 147 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop