NOAH
「あんたは馬鹿だ」
 
ヒオウが冷たく言い放つ。

「ヒューイがそんな約束、守るはずない」
 
その言葉に、リップルは深く頷いた。

「そうだ…。そう、思うよ…。本当に、すまない…」
 
震えるリップルに、トモはそっと寄り添い、泣きながら彼を抱きしめた。過ちを許すように、優しく。
 
ヒオウとしても、リップルの気持ちが分からないわけではなかった。しかし、許す事は出来ない。

「…アタシは、ドームに戻ってレイ達を探すわ。ヒューイに利用されそうになっているみたいだから」

「どういうことだい?」

「詳しくは分からない。ただ、ヒューイがどこかの国を侵略しようとしているとは聞いたわ。その鍵を持っているのが何故かレイみたいで…。ヒューイならきっと、レイとノアの関係に付け入って、無理やり協力させられてるに決まってるもの」

「もしかしたら、それは博士の研究に関係が? だから博士の遺したものを今頃探して…」
 
リップルの推測に、ターラは頷く。

「そうだろうね。ヒオウ、あんたはドームに戻らない方がいい。レイと一番仲のいいあんたは、何か情報を持っていると思われているかもしれない」

「…でもそれじゃあ…」
 
誰がレイ達を助けると言うのか…。

 
ウウ~……ウウ~……。

 
その時、辺りに警報が鳴り響いた。同時に、遠くの方から爆発音と人々の悲鳴が聞こえてきた。

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