NOAH
よろけながらレイに倒れこんでくるノアを、しっかりと抱きしめる。

「レイ…」

「ノア…」
 
きつく抱きしめた後、レイはそっと彼女を離す。

「満足か? 早くしろ」
 
ヒューイが少し苛立ちながら言う。

「分かったよ…。動かしてやるよ」
 
レイは、パスワードをゆっくりと打ち込んだ。
 
ヴン、と音がして、窓の外が明るくなる。ヒューイはゆっくりと部屋を出て、転移盤のある下層に目を落とした。

「ヒューイ様! 転移装置、作動しています!」
 
部下からの報告の声を聞いたヒューイは、ニヤリと笑った。
 
そして部屋に戻り、レイ、ノアと対峙する。

「ご苦労…。今まで辛い思いをさせたな。ゆっくりと休むがいい…」
 
スッと銃を構える。

「愛する者と一緒だ。きっと良い夢が見れるだろう。ディージェに逢ったらよろしく伝えてくれよ」

「貴様…!」
 
ノアが叫ぼうとする。しかし、レイはそれを制し、ノアの手をギュッと握った。

「そうくると思ったぜ…」
 
余裕の表情でそう言うレイに、ヒューイは眉を吊り上げる。

「あんたは約束を守る様な奴じゃない…。だから、俺はこうする」

「何…?」
 
ヒューイが怪訝な顔をしていると。
 
部屋の外からバン、と激しい音がした。次いでけたたましい警告音が鳴り響く。
   
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