NOAH
「…何だ!」
 
少々苛立った様子で外に出るヒューイ。

「ヒューイ様! 『NOAH』が……破壊されています!」

「何だと…!?」
 
白い光を放つ壁が、次々に小さな爆発を起こしている。急いでレイの元に戻る。

「一体何をしていたのだ!」
 
研究員達が責められる。彼らは困惑していた。

「そんな……破壊プログラムらしき物はどこにも……」
 
別のパソコンでチェックしていたが、そのようなものは見当たらなかった。きちんと見張っていたはずなのに。

「お前らみたいな馬鹿にバレるようなことはしていない」
 
本当は内心ヒヤヒヤしていたのだが、最後までバレなかった。レイは自信たっぷりに言ってやった。

「レイ…!」

「俺は、約束は守ったぜ?」
 
ニヤリ、と笑う。

「『NOAH』はちゃんと起動させた。……その後で壊するとは言ってなかったけどな」

「成る程」
 
ヒューイは嘆息すると、銃を打ち鳴らした。
 
白衣を着た研究員達、全員がそれを深紅に染めてバタバタと倒れていった。

「役立たずめが」

「…!」
 
予想外の銃弾に、レイは驚く。まさか、仲間をも簡単に殺してしまうとは…。いや、それがヒューイなのだ…。

< 159 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop