ＮＯＡＨ
「では先に失礼するよ。お前の甘さに感謝するぞ」
　
ヒューイは笑いながらレイの横を通り過ぎようとした。が、レイはその足にがっちりとしがみ付いた。

「…最後まで足掻くか。愚か者め」
　
ヒューイはレイの頭を何度も何度も蹴ったり踏みつけたりした。しかし、レイは離れなかった。

「てめえだけは……行かせるかっ……」

「レイ…！」
　
ヒューイは銃を撃ち鳴らした。太腿に激痛が走る。
　
「うああっ…」
　
声を上げながらもなお、食い下がる。

「チッ……仕方ない」
　
ヒューイはレイの頭に銃を突きつけた。躊躇することなく、引き金を引く──瞬間。
　
ガシッと、手首を掴まれた。

「な…に？」
　
ヒューイは驚く。今まさに引き金を引こうとしていた手を止めたのは、今死の淵を彷徨っているであろう、ノアだった。動く事など出来ないはずだ。一体、何故…！
　
ノアは、銀の髪の間から、鋭い瞳をヒューイに向けていた。

「貴様…!?」
　
どこにこんな力があるのかと思うくらい、強い力で掴まれていた。振りほどく事が出来ない。
　
そうしていると、カン、と音がした。何か筒のような物が落ちてきたのだ。それが何か認識する前に、辺りに白煙が広がる。

「これは!?」

「敵襲！　敵襲ー！」　
　
部下たちが慌てているところに、銃弾が飛んでくる。部下たちは次々に倒れていった。

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