NOAH
ドオン、ドオン…。
 
壁が爆発によりどんどん崩れ落ちていく。

「レイ!」
 
ヒオウが階段から下に飛び降りてきた。消えかかった白煙の中、倒れている者達の中からレイとノアを見つける。

「レイ! ノア!」
 
二人とも瀕死の状態だとすぐに解った。

「ああ、どうすればっ……」
 
今の状況で二人を助けるのは難しい。ヒオウは焦る。

「しっかりして! こんなとこで死ぬんじゃないわよ!」

「…ヒ、オウ…」
 
僅かに、ノアが反応した。

「──ノア! 大丈夫よ、今助けるからね! 今っ……」

「……」
 
ノアは薄っすらと目を開けると、ゆっくりと手を挙げた。そして、ヒオウの後方を指差す。

「何?」
 
振り返ると、白く光る円形の床があった。

「あれは? …もしかして、レイのお母さんが造ったっていう転移装置?」
 
ノアは応えなかった。いや、応えられなかったと言った方が正しい…。
  
「……」

「何? どうしたの?」
 
ヒオウはノアの口に耳を近づけた。

「……た、すけ、て……」
 
消え入りそうな声で、確かにそう言った。

「分かってるわ、大丈夫よ…」
 
ヒオウは彼女の手を取ろうとしたが、ノアはその手を動かして、レイの額に乗せた。そして、目を閉じた。

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