NOAH
それを見た乃亜も、黎のもとにやってきた。
「…黎? 頭……大丈夫? ごめんね、私のせいで怪我しちゃって……」
そっと、包帯の巻いてある額に触れた。
黎の体がビクッと震える。
「…触るな」
黎は乃亜を睨みつけ、小さなその手を払いのけた。
「黎!」
陽央が非難の声を上げる。しかしそれを無視して黎は立ち上がった。
「…もう、俺に、関わるな…」
と、足早に病室を出て行く。
「アタシ、追いかけるわ」
陽央は聖に目配せする。聖は軽く頷いた。
「頼む」
陽央が出て行ってから、乃亜へと視線を転じる。
彼女は、固まったまま動かなかった。黎の座ってたベッドを見つめたまま。
相当ショックだったのだろう……と、聖は何かいい言葉はないかと頭を巡らせた。すると、聖が口を開く前に乃亜が言葉を発した。
「…ねえ、聖さん。黎、別人になっちゃったのかな…?」
答えかねていると、乃亜は更に続けた。
「私、そうは思わないよ…」
「…え?」
その言葉は意外だった。
その真意を伺ってみる。
「だって、手が、震えてた。…ああすることが、辛そうだった」
乃亜は聖を振り返り、僅かに笑みを漏らす。
「ねえ、私、まだ頑張ってもいいかな?」
その言葉に、聖も笑みを返した。
「ああ、こっちがお願いしたいくらいだよ」
そう言う聖に、乃亜は大きく頷いた。
「…黎? 頭……大丈夫? ごめんね、私のせいで怪我しちゃって……」
そっと、包帯の巻いてある額に触れた。
黎の体がビクッと震える。
「…触るな」
黎は乃亜を睨みつけ、小さなその手を払いのけた。
「黎!」
陽央が非難の声を上げる。しかしそれを無視して黎は立ち上がった。
「…もう、俺に、関わるな…」
と、足早に病室を出て行く。
「アタシ、追いかけるわ」
陽央は聖に目配せする。聖は軽く頷いた。
「頼む」
陽央が出て行ってから、乃亜へと視線を転じる。
彼女は、固まったまま動かなかった。黎の座ってたベッドを見つめたまま。
相当ショックだったのだろう……と、聖は何かいい言葉はないかと頭を巡らせた。すると、聖が口を開く前に乃亜が言葉を発した。
「…ねえ、聖さん。黎、別人になっちゃったのかな…?」
答えかねていると、乃亜は更に続けた。
「私、そうは思わないよ…」
「…え?」
その言葉は意外だった。
その真意を伺ってみる。
「だって、手が、震えてた。…ああすることが、辛そうだった」
乃亜は聖を振り返り、僅かに笑みを漏らす。
「ねえ、私、まだ頑張ってもいいかな?」
その言葉に、聖も笑みを返した。
「ああ、こっちがお願いしたいくらいだよ」
そう言う聖に、乃亜は大きく頷いた。