NOAH
乃亜を通り過ぎると、自動扉がガーッと音を立てて開く。足を止めることなく、外へ向かおうとすると。
「…待って!」
乃亜が叫んだ。
黎は足を止め、ゆっくりと振り返る。乃亜は振り返らず、そのまま立っていた。そして、右手を横に出す。
「そこ! そこ座って!」
「…?」
どうやらロビーに並んでいる椅子に座れと言っているようだ。黎は暫し迷ったが……言うとおりに乃亜からは少し離れた椅子に座った。
すると、乃亜はつかつかとやってきて、黎の目の前に立った。
乃亜の顔を見れず、視線を横に向けたままでいると。
「うりゃああっ!!」
という叫び声とともに、頬に拳がめり込んできた。
「!?」
黎は隣の椅子に倒れ込む。
大した力ではなかったのだが、まさか殴られるとは思っていなかったので、まったく構えていなかった。おかげで脳がグラグラと揺れる。
「これはさっきのお礼よ!」
乃亜はキッと黎を睨みつける。しかし…。
「…いっ……いったあ~い!」
黎を殴った右手をブンブン振り回し、涙目になる。そして、
「人を殴るって、殴った方も痛いんだ…」
なんて呟いている。
黎はまだグラグラする頭を軽く振り、殴られた頬に手をやった。
先程聖に叩かれたところと同じ所を……。しかも今度は拳で殴られるとは。頬がジンジンと腫れあがってくるのが分かる。
「…待って!」
乃亜が叫んだ。
黎は足を止め、ゆっくりと振り返る。乃亜は振り返らず、そのまま立っていた。そして、右手を横に出す。
「そこ! そこ座って!」
「…?」
どうやらロビーに並んでいる椅子に座れと言っているようだ。黎は暫し迷ったが……言うとおりに乃亜からは少し離れた椅子に座った。
すると、乃亜はつかつかとやってきて、黎の目の前に立った。
乃亜の顔を見れず、視線を横に向けたままでいると。
「うりゃああっ!!」
という叫び声とともに、頬に拳がめり込んできた。
「!?」
黎は隣の椅子に倒れ込む。
大した力ではなかったのだが、まさか殴られるとは思っていなかったので、まったく構えていなかった。おかげで脳がグラグラと揺れる。
「これはさっきのお礼よ!」
乃亜はキッと黎を睨みつける。しかし…。
「…いっ……いったあ~い!」
黎を殴った右手をブンブン振り回し、涙目になる。そして、
「人を殴るって、殴った方も痛いんだ…」
なんて呟いている。
黎はまだグラグラする頭を軽く振り、殴られた頬に手をやった。
先程聖に叩かれたところと同じ所を……。しかも今度は拳で殴られるとは。頬がジンジンと腫れあがってくるのが分かる。