NOAH
彼の判断でレイは大きな病院に搬送され、そこで手術を行い、無事に成功。

その成功の影には、無理やり採血され、更には死ぬ思いで輸血のための血を提供したヒオウがいた。ヒオウはそこを一番強調して説明した。
 
レイの容態は一ヶ月ほどで安定し、櫻井医院で経過観察することになった。
 
レイが眠っている間に、言葉の分からない者同士の悪戦苦闘が続いた。

毎日お互いの言葉をジェスチャーつきで言い合っていた結果、何とか日常会話は理解できるようになり、互いの言葉も喋れるようになった……というわけだ。
 
そして、丁度意思の疎通が図られるようになったころ、レイが目を覚ました──。



「…とまあ、こんな感じよ」
 
一通り話し終えたヒオウは、レイの顔色を覗うように彼を見た。

「リトゥナには知り合いも、家族もいたけど……たぶん、あの爆発の規模じゃあ、生き残っている人はいないと思う…」

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