NOAH
「あ、黎、聖くん、おはよう。雛ちゃんもおはようー」

「おはよう」

「ひおーくん、おはようございまーしゅ」
 
皆の挨拶が終わると、陽央はにっこり笑った。

「今日も一段と格好良いわね、聖くん」
 
そう言って、リビングへと入っていった。

「…だからお前たちおかしいって…」
 
聖はそう呟きながら、陽央の後に続いた。

(だってかっこいいじゃないか)
 
黎はそう思ったが、さらに聖を困惑させるだけなので、その言葉は胸の内に留めた。

「李苑ちゃん、お掃除終わったからね」
 
陽央はそう報告しながら、ダイニングのテーブルにつく。

「あ、洗濯も終わったからな」
 
聖は雛を椅子に座らせながら言う。

「いつもありがとう。……私の仕事がなくなっちゃうわね」
 
サラダの入ったボウルをテーブルに置き、李苑は苦笑した。

「李苑ちゃんはおとなしくしてなきゃ駄目よ。少しゆっくりするように、お医者様に言われたんでしょう?」
 
と、陽央は李苑のお腹に目をやる。もう大分目立つ大きさになっていた。待望の赤ちゃんは、この冬にやってくる。

「そうだよ。座っててよ。俺運ぶから」
 
黎はキッチンに戻ろうとする李苑を無理やり座らせ、全員分のご飯を装う。

「でもね…。あんまり大事にすると、難産になるんだけど…」
 
更に李苑は苦笑した。

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