NOAH
家族全員がそろったところで、食事が始まる。
黎、陽央がこの世界に来てからすでに2年──。
最初は言葉も分からず、戸惑うことばかりだったが、兄弟として生活を共にすることになった櫻井夫婦のおかげで、何の不自由もない、平和で楽しい生活を送ることが出来ていた。
社会で生きていくために、色々な『資格』も取らせてもらい、本当にお世話になっている。
本来ならば、きっとこんな風には暮らせない。自分たちは、いわば『異端者』なのだ。
それを誰にも知らせることなく、匿ってくれている。並大抵のことでは出来ないことだ。本当に……どれだけ感謝しても足りない……。
明るい日差しの中、楽しく会話しながらの食事。
黎は、箸を持ったまま、独り笑った。
「何、黎、どうしたの?」
陽央の問いかけに、黎は更に顔を歪ませた。
「あのねー……すげえ、幸せって思って」
全員が、黎に注目する。
「かっこいいお兄さんがいてさー」
と、聖を見る。
「優しくて綺麗なお姉さんもいるだろー?」
今度は李苑に視線を転じる。
黎、陽央がこの世界に来てからすでに2年──。
最初は言葉も分からず、戸惑うことばかりだったが、兄弟として生活を共にすることになった櫻井夫婦のおかげで、何の不自由もない、平和で楽しい生活を送ることが出来ていた。
社会で生きていくために、色々な『資格』も取らせてもらい、本当にお世話になっている。
本来ならば、きっとこんな風には暮らせない。自分たちは、いわば『異端者』なのだ。
それを誰にも知らせることなく、匿ってくれている。並大抵のことでは出来ないことだ。本当に……どれだけ感謝しても足りない……。
明るい日差しの中、楽しく会話しながらの食事。
黎は、箸を持ったまま、独り笑った。
「何、黎、どうしたの?」
陽央の問いかけに、黎は更に顔を歪ませた。
「あのねー……すげえ、幸せって思って」
全員が、黎に注目する。
「かっこいいお兄さんがいてさー」
と、聖を見る。
「優しくて綺麗なお姉さんもいるだろー?」
今度は李苑に視線を転じる。