NOAH
「──ノア!!」
 
叫んで、乃亜の手を思い切り掴んだ。
 
乃亜は驚いて、目を見開いて黎を振り返った。
 
一瞬の沈黙。

「あ……れっ? ごめん、何やってんだろ……」
 
静かに乃亜の手を離す。すると、乃亜の瞳がじんわりと潤んできた。

「うわっ、ごめん! 痛かった!?」
 
黎が慌てて訊くと、乃亜は顔を歪めて頷いた。

「心臓口から出そうだったー…」
 
よほど驚いたらしい。
 
黎が掴んだ手は、徐々に赤くなってきている。 

「あー、ごめん! こんなに強く引っ張って……痛いか?」

「んもー、痛いよー。呼び止めるなら静かにやってよー」
 
涙目で頬をぷくっと膨らませる乃亜。黎は必死に謝りながら、家を出て行った。


それを見送った陽央は、リビングに戻り、ソファに腰掛けている聖に向かって、言った。

「話があるの」
 
その瞳は、真剣そのものだった。

「今、話しておいた方がいいと思うの。……アタシ達が、ここに来た本当の理由を」
 
それを聞き、聖はゆっくりと頷いた。

「俺も、聞かなきゃならないと思ってた。…陽央から言ってきてくれて良かったよ」

 
そして、陽央の口から真実が語られる…。

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