ＮＯＡＨ
戦後世界は統一され、その王となったヒューイにより造られたこのドームの中で、生き残った人々は生活している。

王の息子であるレイやヒオウは、その中でも特に裕福な生活を与えられていた。


「ねえ、昨日どうして来なかったのよ」

「ああ？」

「アタシがどれだけヒューイに気を遣ったか、分かってる？」　　

「悪かったよ。…だって行きたくねえもん、あんなとこ」

「…気持ちは分かるけど…。あんたの誕生パーティでしょう。主役がいなくてどうするの。顔ぐらい出さないとまたお兄様方に苛められるわよ」

「…めんどくせえ…」
　
重いため息をついてレイは室内に戻ってくる。そして着替えを始めた。

　
レイには異母兄弟が二十人くらいいた。

くらい、というのはレイ自身、何人いるのか把握出来ていないからだ。

父親でありこの国の国王であるヒューイには何人もの妻がいて、面倒でいちいち把握していられなかった。
　
しかしこの兄弟たちは国王である父に気に入られたいがため、いがみ合いが凄かった。

レイは父にも権力にも興味がなかったが、何故か兄弟の中で一番父にかわいがられていたため、嫌でもその抗争の中に巻き込まれていた。

抵抗すら出来なかった幼い頃は、生傷が絶えなかったものだ…。

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