NOAH
「昨日のパーティにヒューイが新しい奥さん連れてきたのよ!」

「…また」
 
別に珍しい話でもなかったので、レイはその話に興味を示さなかった。年に一、二度はある話だ。女の数が極端に少ないので、一夫多婦制というわけではないが、気に入った女がいると手に入れずには済まないらしい。すぐに飽きてしまうくせに…。

「別にいいだろ、エロジジイの話なんか」

「良くないわよ」
 
ヒオウはレイの肩をガッチリ掴み、真剣な顔で言った。

「あれはもう犯罪よ。今度の嫁はアタシの一つ上よ」

「……は?」
 
レイは間抜けな顔で聞き返した。

「…だってお前…」
 
と、ヒオウを指差す。

「十七よ」

「……はあっ!? 何それ!!」

「だから、凄い話でしょう? ヒューイはもう六十過ぎてんのよ! 信じられないと思わない!?」

「マジでえ? …その女の神経疑うぜ、俺は…」

「きっと無理やりなのよ、かわいい子だったもの。かわいそうに…」

「ふーん…」
 
さすがのレイにも、この話は驚きだった。果然興味が出てきた。

「おもしれえっ、その女見に行って来る。こん中いるんだろ?」

「ええ、もう後宮に入ってるはずだけど…」
 
ヒオウが答えるや否や、レイは弾むように部屋を飛び出していった。

「ちょっと、待ちなさいってー」
 
その後をヒオウが追いかけていく。


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