NOAH
「何を…」
 
言いかけるシオの上に覆いかぶさり、片方の腕を押さえつけた。

「あんたに恨みはないが…」
 
抵抗するもう片方の腕を捕まえると、同じように強く押さえつけた。

「…悪いな」
 
一応謝罪の言葉を口にしてから、白い首筋に唇を押し当てた。 

「やめっ……やめてください!」
 
悲鳴に近い声で叫ぶシオ。押さえられた両腕はどんなに力を入れてもビクともしない。

レイは右手だけでシオの両手首を押さえると、衣の中へと手を這わせた。

「やめてっ…」
 
暴れるシオを無理やり押さえつける。

最初は大抵、暴れるものだ。そのうち、諦めて力を抜いてくれる。その方が女達にも優しいのだろう…。

「やめてっ、やめっ……」

シオは更に暴れる。

そして……。

「やめ……ろっつってんだろーが、このガキいっ!!」
 
ドスッ!
 
一瞬、別人のような声がしたかと思ったら……。思いっきり股間に蹴りを喰らっていた…。

「っ…」
 
思わず息が詰まる。
 
押さえていた手が緩むと、シオは思いっきりその手を振り払い、更に手の甲でレイの頬を殴りつけた。
 
ドスン、と分厚い絨毯の上に転がる。情けないことに、あまりの痛みにしばらくそのまま転がっていた。
 
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