NOAH
「分かった。今度、〝本当の外〟に連れてってやるよ。お坊ちゃん達にはちょっと刺激が強いかもしれないけど」
 
意地悪げな言い方をするので、レイもヒオウも興味をそそられた。

「なあに? 〝本当の外〟って、どういうこと?」

「う~ん…。そのままの意味さ。あんた達は知らないことが多すぎるようだから」

「何だよ、それ」
 
だんだん詰め寄ってくる息子たちに、シオは更にいたずらな笑みを浮かべた。

「社会勉強さ。楽しみにしときな」
 
その日はそれだけ言って帰ってしまった。
 
〝本当の外〟。
 
これが、レイの人生を変える場所となる…。





数日後、変装するように言われ、レイとヒオウは黒っぽいフード付きのコートを着せられた。シオも頭にストールを被り、二人の前を歩いていく。

「喋んなよ」
 
そう忠告されたので、二人は黙ってシオの後を歩いていく。
 
エレベーターで地下に降り、着いたところは冷たい灰色のコンクリートに囲まれた、薄暗い通路だった。
 
このドーム内のことは大体知っているが、このような場所があるのは知らなかった。

少しばかり警戒してシオの後をついていくと、やがて行き止まりとなり、その前に黒っぽい服に身を包んだ者が二人、通路の両端に立っていた。
 
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