NOAH
「怪我したのかい?」
聖は乃亜もどこか怪我をしたのではないかと心配して訊いた。
「うん、あの、男の子が血だらけでっ」
「…分かった」
どうやら乃亜は怪我をしていないようだと判断し、聖は李苑に視線を投げた。彼女も医者なので、それだけで聖が何を言おうとしているのかを理解する。李苑が僅かに頷くのを見て、聖は乃亜とともに外に出た。
「こっち!」
乃亜に引っ張られてどしゃ降りの雨の中を進んでいくと、僅かに明かりを地面に届ける街灯の下、蹲る人影がふたつあるのが見えた。
少年の元にたどり着くと、素早くその状態を観察する。
青白い顔、冷たくなった体、そこから流れる大量の血…。
一目で自分一人の手には負えないことが分かった。設備の整った総合病院に連れて行かなくては。
「大丈夫か! しっかりしろ!」
声をかけても何の反応もない。かなり危険な状態だ。
「一旦、中に運びます。止血しますので」
聖は少年に寄り添う人物にそう言った。しかし睨まれるだけで、何の返事も返されない。
「あっ、聖さん、その人達日本人じゃないみたい。言葉が通じないの」
横から乃亜に説明される。
「成る程。とにかく、この子を運ぼう」
聖は着ていた白衣を道路に広げ、それに少年を乗せた。担架代わりにするのだ。
「足の方持って」
聖は乃亜もどこか怪我をしたのではないかと心配して訊いた。
「うん、あの、男の子が血だらけでっ」
「…分かった」
どうやら乃亜は怪我をしていないようだと判断し、聖は李苑に視線を投げた。彼女も医者なので、それだけで聖が何を言おうとしているのかを理解する。李苑が僅かに頷くのを見て、聖は乃亜とともに外に出た。
「こっち!」
乃亜に引っ張られてどしゃ降りの雨の中を進んでいくと、僅かに明かりを地面に届ける街灯の下、蹲る人影がふたつあるのが見えた。
少年の元にたどり着くと、素早くその状態を観察する。
青白い顔、冷たくなった体、そこから流れる大量の血…。
一目で自分一人の手には負えないことが分かった。設備の整った総合病院に連れて行かなくては。
「大丈夫か! しっかりしろ!」
声をかけても何の反応もない。かなり危険な状態だ。
「一旦、中に運びます。止血しますので」
聖は少年に寄り添う人物にそう言った。しかし睨まれるだけで、何の返事も返されない。
「あっ、聖さん、その人達日本人じゃないみたい。言葉が通じないの」
横から乃亜に説明される。
「成る程。とにかく、この子を運ぼう」
聖は着ていた白衣を道路に広げ、それに少年を乗せた。担架代わりにするのだ。
「足の方持って」