NOAH
「元気な姿を皆に見せてやれよ。皆お前を心配している」

「ああ、そうするよ」
 
会話が一段落したところで、シオは振り返る。

「行くよ」
 
と、奥へ進んでいく。
 
レイとヒオウは、銃を気にしながらシオの後を追った。
 
皆、銃を構える仕草は見せないが、警戒されているのが分かる。突き刺さる視線が痛い……。
 
もしかしたら発砲されるのではないかという恐怖を背中に感じながら、更に奥へ進んでいくと。
 
広く開けた場所に出て、そこにたくさんの人々が集まっていた。

「あっ、ノアだ!」
 
一人の小さな子供がそう声を上げると、そこにいた人々の視線が一気にこちらへ向いた。

「ノア!」

「ノアだ!」
 
人々はみんな笑顔でシオの周りに集まってくる。

「よお、皆、元気だったか?」
 
シオも笑顔で人々に挨拶をする。
 
その後ろで、レイは人々の姿に目を奪われていた。
 
手や足のない人達。
 
目が不自由なのか、杖をつき、人の手を借りてシオのもとへ来ようとする者。
 
瞳はキラキラと輝いているのに、ガリガリに痩せた子供達…。
 
健常者もいるが、障害者の方が遥かに多かった。ドームの中では滅多に見ることのなかった、戦争の被害者達。

唯一同じなのは、やはり男の方が圧倒的に多い、ということか……。
 
しかし男女に関係なく、その一人一人とシオは触れ合っていた。皆、彼女をとても慕っているように見える。

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