僕は忘れるんでしょうか
「そういえばランクスさんが…」
「先生だ」
――めんど…
シオンはゴホンっと咳払いをして
「先生が親分と話していた【パンドラの書】ってなんなんですか?」
「あぁ、大したことではない…気にするな」
「けど何だっけ…たしか雷帝様?っとかいう人が欲しがってるんじゃないんですか?」
「まさか……お前…雷帝様を知らないのか……?」
シオンがコクンと頷く
「し、信じられん……カロールはどんだけ田舎なんだ…本当に知らないならこれから色々と面倒なことになる
だから俺が豚でも知ってる基本的なこの国の歴史を教えてやる」
後半の部分は皮肉で言ったらしいがそれに気づかす、マジメに頭を2度大きく振るシオン
期待したリアクションではなく直球できたシオンに少し引きながら
「いいか、これから向かう国は形式上、二大政権の国で唯一の首脳国、【ハリベル】だ
まず知っておくべきなのはこの国の二大トップの一人である、英雄ランドスター家のご子孫のグラコス=ランドスター様だ
その昔、ランドスター家の祖先であるハリベル=ランドスター様がこの国を建国し、優れた政治を行い
ついにはハリベルを発言権が一番強い首脳国にまで伸し上げた
……ここまではよかったのだが時がたちランドスター家の長が変わるにつれ求心力が落ち、政治が腐敗していき、ついにはもう一つの制度が生まれた
事実上のトップである【帝王】だ」
「つまり、雷帝様?」
「そうだ、だが雷帝様はランドスター家を尊敬しており、決して自分一人だけで勝手に決めず、必ずグラコス様に意見を求める
まさに聖人君主のお方だ
…そんな凄いお方から命を受けて俺はここまでやって来たってこと、少しは分かったか?」
「はい…なんとなく…つまり偉いのは雷帝様とグラコス様でその二人には無礼なことをするなってことですよね?」
「一つ抜けているぞ、それと同じくらい偉いのが俺様ってことだ」
「……(今日の夕飯は何かな♪)」