僕は忘れるんでしょうか
ガチャガチャと金属の摩擦音が近づいて来る
「失礼しますっ!ランクス様がお見えになりました!」
王座がある以外に他に何もない部屋に…いや“間”に20代前半らしい男の兵士の声が鳴り響く
「おぉ!坊っちゃまがやっとお出でになったか!早く通せ!」
光輝いて見える王座の横に立っているウジが若い兵士を急かす
了解しましたっ!!とウジに負けないぐらいの大きな金切り声を出し高さ10メートルは超えているであろう巨大な扉に向かって走りだした
扉にたどり着いた兵士は他の兵士、3人と力を合わせ合計4人でその大きな扉を開ける
10秒もすると扉がほぼ開いていき廊下に立っているランクスが見えはじめた
ランクスは扉が完全に開くとスタスタと歩いていき王座の少し離れたところに止まり、片膝をつき頭を下げる
「只今、参上つかまつりましたランクスでございます…火急のご用件とは一体どのようなことでございますか?」
すると王座に座っていた男が口を開く
「わざわざもう一度呼び出して悪いな、本当は私に視察報告をした時に言えば良かったのだが、お前は代表者会議があったからな…」
とんでもございませんと頭を下げたまま話すランクス
「時にだなランクス……相変わらずまだあの時のフラッシュバックに悩んでいるのか?」
王座の男はランクスに真剣な顔つきで話す
「…」
頭を下げたまま答えないランクス
重い沈黙の塊を斬り崩すかの様に少し間を置いてから
「…これは“雷帝様”として訊いているのですか?……それとも……
……それとも“父親”として私に訊いているのですか?」