僕は忘れるんでしょうか
「………雷帝様…ご用件がこれだけなら帰らせて頂きますが…?」
ランクスが顔に怒りマークをつくりながらも感情を必死に抑えながら尋ねる
「おぉ〜!そういえば本来の用を忘れていたな!ウジ、例の物を用意してくれ」
そう言って雷帝が右手を顔の横まで持ち上げ、パチン!と指鳴らしをすると、ウジが頭を下げ奥へと下がる
しばらくすると、冊子がジェンガのように大量に積まれたカートを押しながらウジが戻ってきた
「もう察しはついているだろ、ランクス?」
雷帝は温かい笑みを向けながら話す
そしてスゥーっと大きく息を吸い
「早く結婚しろ!!!!!」
――クッ!やはりこのことか…
「……お恐れながら言わせてもらいますが私は…」
「“結婚はしない”と言いたいんだろランクス!?
しかし!そうは言ってもお前は次期帝王だぞ!?」
「分かっております!!…………分かってはおりますが…」
「まさかまだ“アカネ”のことを忘れられないとでも言うのか!?」
双方ともに黙り、話そうとしない
「僭上な物言い重々承知していますが、雷帝様…少し言い過ぎでは…?」
恐縮しながらウジが雷帝に語りかける
「…そうだな……ランクス、すまな…」
「…失礼します」
皆まで聞かずランクスは、足早に去っていった