僕は忘れるんでしょうか
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「本当によろしいんですか坊っちゃま?」
濃い茶色の旅服を着た青年をウジが諭す
「……レッドはああ見えて指導者のセンスがあるからな」
「そこなんですよ!あいつはまだ信用出来ません!!せめて私にお任せ頂いても…!」
「…このままだと水掛け論になる……“例の件”はくれぐれも忘れるなよ」
そう言うとランクスは颯爽と青空の風を切って立ち去るのであった
「………“例の件”か…」
あれだけ笑っていた太陽が鼠の曇天を引き連れ不機嫌に雨を降らしている
王城の天辺に聳える白虎の絵が描かれた旗が、雨に打たれ泣いているように見えるのは気のせいだろうか?
それを危惧したのか、雷帝が窓から覗き、そして視線を眼下に広がる城下町に移す
「…雨…か……ランクスは本当に雨男だな…」
雷帝は軽く微笑をすると王座に戻り息子の帰りを待つのであった
一方、こんな雨の中フィレンツェの扉の前で黒い傘を差す少年が一人
「………レッドの馬鹿はここか…チッ…だりーな…」