僕は忘れるんでしょうか
その声でシオンが入り口を振り向くと、カラスの様に黒い髪が眼の位置にまで伸びた少年が立っていた
黒髪の少年は傘から雨水が滴り自分のブーツの周りが濡れているのを気にせず話を続ける
「いつまで待たせるつもりなんだお前は……!?」
「わりぃわりぃ!ちょっと立て込んでてな♪」
レッドが頭を掻きながら答える
「何が立て込んでるだ!今、暇してんだろ…!」
するとシオンがレッドに耳打ちをし、
(こいつがさっき言ってた…?)
(その通り♪口は悪いが実力は本物だぜ)
「そこのもやし!お前には関係ねーからさっさと立ち去れ…!」
シオンの方を指差し吐き捨てるように命令する
「も、もやし!?……さっきから聞いてりゃエラソーにしやがって!オレはこれでもランクス先生の弟子だぞ!!(元だけど)」
それを聞くと右手に持っていた黒い傘を落とし下を向くギルツ
「………それは本当なのか……レッド…?」
「にゃはは♪……残念ながらその通りだねぇ(元だけど)」
レッドの答えを聞き終えると鋭い視線をシオンに突き刺す
「…………外に出ろ…………俺と勝負しな」