僕は忘れるんでしょうか
「おい、もやし………萎縮してないで早くかかってきな………俺が潰してやるからよ…」
ギルツは左手をだらんと下げ、右手は甲を上にし、手を少し広げた状態で話す
その様はまるでゾンビのよう
――コ、コイツ!狂ってるのか!?
「わかってるっつの!」
シオンが声を裏返しながらも、左手で鞘を押さえながら腰の小剣を抜き、両手で構える
「にゃはは♪けっこう様になってるじゃん!シオンのやつ、もしかしたらもしかするかもな!」
深呼吸の時の吐く息の様な大きな溜め息をしながら
「お前なぁ……相手はあのギルツ=ランドスターだぞ…
まだ18歳だとはいえ白忍の主力だぞ!それに近いうちに十勇士にも成れそうな実力者だろ!?」
「いんや…ま〜だギルツには十勇士の称号は早い
あいつには足りないモノがたぁっくさんある!……それにあいつより“シンドー”とか“ヤナギ”さんの方が適任だろ?」
「そうかもしれないが……ここだけの話ランドスター家の力ってのはそうとうなもんじゃないのか?」
「ま、黙って見てよーぜ」
シオンは剣先を斜め左下に変え、降りしきる雨の中を叫びながら突進するように走る
ギルツは鋭い眼光と共に先程の姿勢のまま右手をシオンの方へ向ける
――なんだあれ?あのままだと攻撃が入って簡単に触れられるぞ?
「にゃはは♪………もう出ましたギルツのソウル…」