僕は忘れるんでしょうか




「…あんのバカもやしが気づいてね―よ―だから言うけどもうひとつの決定的な弱点は…実はこっちの方が深刻なんだけど“効果の適用範囲が狭いこと”なんだよね」






棒を持ちながら口からアメを外し色が薄くなったのを確認してから、また頬張る


「だからさっきからギルツはもやしを引き付けてからソウルをしてたのか…
狭いってどれくらいだ?」



「んー…ざっと半径1メートルぐらいしかないかな
けど、それを補って余りあるほどこの能力は強力だぞ
なんせ、あの“師匠”のお味噌つきだからな♪」


「お墨付きだろ!?調味料を付属してどうする!?
“やっぱり生のキュウリにはお味噌ですね〜”ってか!?それとも“お味噌ならハナ〇ルキ〜♪”ってか!?
…だが“あのお方”の目にかけられるのは凄いな」


「だしょ♪……まぁ話を戻すけどギルツに勝つには中〜遠距離で戦えなきゃまず勝てね―、ってこと」



細く長く伸びた指先を上下に揺らしながら話す






「それならもやしは必然的に無理じゃねーか!
あんな短い刃の剣じゃ中距離どころか近距離も厳しいぞ!」








「にゃはは♪…“今のところ”そうだな」


「今のところ?どういう意味だそれ?」




ワインレッドの字体でロゴが書かれた白い長方形の箱を無造作に取り出しそれの端をトントントンと3回ほど叩くと“我、先に”と1本の煙草がしゃしゃり出てきた



“出る杭は打たれる”というがそいつは、ひょいと掴まれ頭に火を点けられた




レッドは腕に箱を向けられたが、それを手のひらで制し質問に応える





「にゃはは♪……あいつがもし“あれ”に目覚めればギルツに勝てる」




「“あれ”ってなんだ!?」


「少しは自分で考えなきゃダメだよ、おやっさん♪
…けどオレはもう覚醒のヒントは与えたぞ
“今、お前がすべきことはなんだ?”ってな」





「…ふむ…………!!…ま、まさか!!」






煙草の灰が落ちるとともに答えが浮かぶ
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