僕は忘れるんでしょうか
【失恋と修行は突然に】
眼前から2つの影が歩いてくる
出てきたところをみるとフィレンツェの裏口から来たみたいだ
まだ薄暗いこの細道のせいで視界が上手く開かない
だが、あと7歩というところでやっと顔が見えてきた
あの顔は……
「もしかして…ツカサ!?それにミスズ!?いや〜ひさしぶりだな〜♪」
「レッド様!?お久しぶりでございます…ほら、ミスズもちゃんと挨拶しなさい」
「うん!ひさしぶりだねレッド♪」
「ダメじゃない!ちゃんと敬語を使わなきゃ!…すいませんレッド様!もう17になるのにまだ世間知らずなとこがあって…」
ミスズの頭をポンっと軽く叩き謝る
「にゃはは♪ミスズは相変わらずだな〜!そうかもう17か……それじゃツカサはオレの3つ下だから…18か?」
「はい、そうですね……申し訳ございませんが今、急いでいるので失礼させて頂きます…」
ツカサは上品に手を添えながらゆったりとお辞儀をしレッドの横を通りすぎる
ミスズも後ろ髪を引かれる思いでレッドに手を振り駆け出して行った
「2人ともすっかり大人になっちゃって……って今はそれどころじゃねーや」
レッドは筋トレの腹筋の時のように両手を後頭部にあてながら歩いていった
「おぉ!やっと来たか!」
店主が疲れた顔色をしながら訴えるように話す
「ゴメンゴメン遅くなって♪何すればいい?」
重い訴えとは真逆にミスズは軽い心持ちで言葉を返す
「そうだな…そこの白銀頭を2人で運んでくれるか?俺はギルツをやるから」
「わかった♪えーと…このうつ伏せになってる男の子だよね?」
――コイツ…どっかで見たことあるよ―な…?
「そうみたい、それじゃあ…とりあえず仰向けにして運びやすくしてからにしよ?」
――この頭…どこかで見たことあるような…?
「「せーの!」」
2人は力を合わせうつ伏せの状態から仰向けにし、シオンの顔が露になると2人の表情がみるみる変わっていく
「あああぁぁ!!!!!」