僕は忘れるんでしょうか
そんな他愛のない会話をしていると愛想のない男が前を遮る
「……ダレだテメェは?」
サクラマルが今までの表情を一変させ、眉間にナイフを向けるように睨みを効かせる
「貴方は…サクラマル様ですね?ここからはワタクシ、白鳳隊がお受け致しますのでお引き取り下さいませ」
白鳳隊が代々受け継ぐ鎧を纏った男は低姿勢の言葉を使ってはいるが2人に恭順している素振りは感じ取れない、いやむしろ、わざとそういった態度を示しているととれて仕方なかった
「白鳳隊?なんでテメェらがわざわざ白忍のレッドセンパイのとこに…」
「にゃはは♪いいじゃね〜か別に!オレもVIP待遇を受ける身分になったってことだよ♪」
「アイツらがそんなマネするわけないじゃないっスか!」
「ご安心下さい敵意はございませんので…」
白鳳隊からの使者と名乗る男は2人の会話を待たずに話を進める
「て〜〜わけだから♪サンキューな!サクラマル」
「〜〜〜っ…わかりましたよ!そんじゃまたっス!」
もう一度白鳳隊の使者を睨み付けると男から会釈され軽く流されてしまった
サクラマルは逆上しそうな感情を抑えつつ、また煙のように空に舞っていった
すると男が無表情のまま
「誤解がないよう確認しておきますがワタクシはレッド様だからではなく、あくまで白鳳隊総大将閣下の為に動いております……ワタクシの気持ち察して頂くと助かります」
「んなことは分かってる……速く連れてけ…」
――こ、この男……やはり普通の軽い男ではないな
流石は雷帝の息子といったところか
十勇士に選ばれているのを不思議に思っていたが…成る程な…ただのコネで入った野郎ではないな
「では…参りましょうか」