―――執着―――
杉崎恭が言葉を言い終えると共に、さっきよりも柔らかく優しい風が吹いた。
「・・・・・・」
杉崎はじっと、あたしを品定めするように見つめて来る。
あたしも、どうしてだか杉崎から目を離せなくて……二人は見つめ合う形となってしまった。
「・・・・・・・・・あたしは―――――――…」
『ない』
その一言を言えば話は終わる。なのに、あたしの口は動いてくれなかった。
・・・・・・見ず知らずの人を心配した事なんかこの世に生を受けて一度もない。
それは、誰でも同じなんじゃいだろうか?
見ず知らずの人に心配されるのは、どっちかって言うと気持ち悪い。
アンタ等に何が分かるんだって・・・・・・思う。