―――執着―――
「・・・・・・杉崎、アンタ。ここに引っ越して来たんだよね?」
「あぁ」
「住んでた所って、どんなとこ?ってか何処?」
「・・・・・・そんな事聞いてどうすんだよ?」
「深い意味はない」
「・・・威張るな」
ケースから、新しい煙草を1本咥え、火をつけると、杉崎は煙を口から吐き出した。
こういう話題が嫌いなのか、あんまりいい顔はしていない。・・・しいて言えば、何処か寂しそうに見えもする。
あたしは、杉崎の口から吐き出された煙を目で追い、何となく、視線を空に向けた。
そういえば、母とは、まだ仲直り・・・いわば、許してもらっていない。
学校が終われば、明日になれば・・・・・・きっと、怒りも冷めるだろう。