―――執着―――
「酔い止め飲まなかったの?」
「・・・・・・あぁ」
「飲めば良かったのに・・・」
「大丈夫だと思ったんだよ。そんなに乗り物酔いしねぇから」
「へぇー・・・ってか、ホント大丈夫?」
「大丈夫じゃねぇから、ここで休憩してんだよ。こんな気分の悪い時に階段なんか上れるか」
「あー・・・なるほど」
あたし等が止まる旅館では、エレベーターはあるものの使用禁止されている。
だから長ったらしい階段を上らないと、自分の部屋まで行けないのだ。
「あたしでも、あの階段はキツいもんなぁ~・・・」
「それはお前の体力が無いからだろうが・・・お前と一緒にすんな」
「悪かったな!!体力無くてお前に迷惑かけたかっ!?」