君と、恋
「…何、十夜その顔。何かあったの?」
暗い十夜。
いつもは無口でも、
こんな表情を見せることはない。
だけど今日は。
いつもと違う。
「何も、ねえけど」
座る所に困って。
何故か腰を下ろした、
ベッドに座る十夜の隣。
よく考えたら危険だけど。
十夜に限って、ないない。
「あ、で?飛鳥ちゃん…どうしたの?」
「俺、あいつと別れよっかな、って」
別れる、と言った瞬間。
はじけてしまうあたしの中の何か。
「な、何でいきなり。喧嘩でもした?」
わざと明るく振舞うあたし。
だって、だって。
別れる理由が分かんない。
「してねえ」
「んじゃ、何。好きな人でも出来ちゃった、とか?」
茶化すように聞くと、
十夜はいつになく真面目な表情で
あたしを見つめている。
「…な、何。どうしたの?」