君と、恋
「やぁ…やだぁ…」
首筋に這う、熱い唇。
戸惑ってしまう、あたしの
おかしい脳内。
「やめ…て、やだ。触んないで…」
大きな手があたしをかき乱す。
前に付いているボタンが、
上から3つくらい外れていて。
露出された肌に、
食らいつく十夜。
「や…っだってば!」
渾身の力を振り絞る。
十夜があたしによって退けられ、
後ろの壁に体をぶつける。
「ごめ、十夜…大丈夫?」
自分で退けときながら、
痛そうに顔を歪める十夜を
心配して顔を覗き込む。
「なあ紗月、相手しろよ」
「…え、何?」
懲りない彼は。
再びあたしの上に
跨って。
唇を押さえる。
「んっ…ふ…」
何があったか分からないけど。
こんなの、十夜じゃない。
「やめて!」
勝手に動いたあたしの手が。
十夜の頬を。
引っぱたいていた。