君と、恋



















あの日から。


あたしは十夜の顔を


見ていない。


十夜もあたしを避けてるのか。


少しも姿を現さない。


次会ったら、何があったか


聞いてやろうと思ってるのに。






















「紗月…どしたの?」

















「……あ、ううん。何もないない!」




























学校の帰り道。


隣を歩く結衣が心配そうに


あたしを見つめる。


あたしが視線を反らすと、


結衣は頬をふくらました。























「最近変だよ?いつも考え事してるみたいだし…本当に何もないの?」
























心配してくれてる結衣には


申し訳ないんだけど。


こればっかりは…言えないよ。



























「あの…、すいません」

























その時。


後ろから女の子の声がして


振り向くと。


そこには飛鳥ちゃんが立っていた。
























「飛鳥ちゃん…どうしたの?」






















「少し…、お願いがあって」






















手には大きな紙袋と、


小さなビニール袋があった。























「十夜くん、風邪をひいたみたいなんです」


















「あー、そう。…あ、それお見舞い?」



















「はい。…あたし今から用事があるので。これを渡してほしいんです」






















…それは。


やっぱり彼女がするべきでは


ないのでしょうか。





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