君と、恋















「…ん、紗月か。どした?」



















どきっと肩を震わせる。


いきなり声が聞こえて、


自分の気持ちに気付かれるんじゃ


ないかって。























「あ、えと…、飛鳥ちゃんに頼まれて。これ…」














寝起きの十夜に、


紙袋とビニール袋を渡す。


十夜は自分の顔に手を当てて、


辛そうに顔を歪ませた。



















「どっか置いとけ」





















あたしは、地面に置くと


勢い良く立ち上がった。




















「じゃ、あたし…帰るから」






















おかしい。


あたしおかしいよ。
























「紗月」

















「ん?」

















「何で泣くんだ」































何故か涙が、



勝手に流れ落ちる。
























「泣いて、ない」





















必死に拭う涙を。


いつの間にか十夜に


見破られていた。






















「紗月」




















< 117 / 152 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop