君と、恋



















「紗月…」














「ん?」






















隠し切れてるのか。


あたしは下を向いて、


表情を隠す。






















「泣いたの?」





















「え、なん…」




















「跡…付いてる。涙が流れた跡」

























哲はあたしの目の横を、


優しく撫でた。


驚いて自分でも触ると、


確かに乾いた跡が付いている。
























「おかしいな…、泣いてなんか」
















「…行くか。遅くなっちゃうし」

























手を引かれ、暗闇を歩く。


隣にいる哲に。


何だか違和感を感じている


自分がいた。























「でね、龍司がさ」



















「え、そうなの?」

























2人で笑う。


手を繋ぎながら、楽しく。


笑うんだけど。













< 121 / 152 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop