君と、恋












「十夜…?」















さっき出たばかりの家の


中に入る。


ゆっくり開けるドアの向こうに


いる十夜に声をかけるも、


やっぱり声はしない。

















「…起きてる?」




















リビングを覗くと、


ソファに寝ころんでる十夜がいる。



















「なんだ、いるんじゃん」



















「紗月、台所行って」
















「…は、何…、これ」

























台所には、調理しようと


したのか。


汚れたフライパンと、


食べた後の食器が残っていた。






















「洗って。頼むわ」















「…は?洗え?」























こんがらがる思考。


あたし、もしかしてこれのために


呼び戻された?






















「頼むって紗月。俺病人だから」
















「んとに。ふざけてるよね…馬鹿」



























とか何とか言いながら。


鞄を置いて。腕を巻くって。


食器とスポンジを持って、


仕方なく洗う。

























「終わったけど?」



















たくさんあった食器を洗って、


リビングにいる十夜の元に向かう。





















「用事ないなら…あたし帰るから」
















「待てって」


























十夜はいきなり立ち上がって


テレビを消すと、


あたしを掴んで再び部屋に


行こうと階段を上がる。





















「待って待って。あたし…必要?」


















「お前に用事あるんだって」




















あたしに…用事?







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