君と、恋
「最近…すごく冷たくて。初めから冷たかったんですけど。…最近一段と冷たいんです」
ひどく落ち込む飛鳥ちゃんに
あたしは少し同情した。
それと同時に、嫉妬した。
「何回も別れようと思ったんですけど。…でもやっぱり、好きで…」
…だから?
「だから、何?」
言った瞬間後悔。
思ったことを素直に言い過ぎた。
「あ、えっと…」
「あ、飛鳥ちゃん大丈夫だよ!藤田すごい冷たいけど、でも本当は優しいやつだから!」
隣でなだめる結衣に任せよう。
あたしはもう、
これ以上聞いていられない。
感情を、押し殺せないよ。
「ごめん。帰る」
「あ、ちょ…紗月!」
教室を飛び出して玄関に向かう。
後ろから追いかけて来る足音。
それでもあたしは、
その場に立ち止まれなくて。
「紗月!待って待って!」
結衣の声がする。
足の早い結衣には敵うはずもなく、
追いつかれて肩を掴まれる。