君と、恋
「そういえばさ」
「うん。…何?」
「教育実習生…来るんじゃなかったっけ?」
「あ、そだったかも」
月初めの今日。
結衣に言われ、思い出した。
教育実習生が来ること。
先週、確か担任が言ってたっけ。
「かっこいいといいなあ~!」
ただの実習生に期待を持つ結衣は、
窓の外を見て目を輝かせている。
あたしは興味がないせいか、
結衣の話に上の空。
「席につきなさ~い」
担任が入ってくると、
みんな一斉に席についた。
担任ともう1つの影。
「今日から教育実習で来た、速水先生です。じゃ、自己紹介お願いします」
「初めまして。1週間お世話になる、速水です。よろしくお願いします」
そこには見たことがある風貌。
よく見れば、朝道を教えた人だ。
「速水先生は1ヵ月、ここのクラスで授業してくださいます。後は…学年ほとんどを受け持つそうです。教科は英語です。みなさんよくしてあげてくださいね」
全員が拍手。
あたしは驚きに満ち溢れて
口を開けたまま。
担任と、朝の男が教室を出ていくと
教室中の女子は盛り上がる。
もちろんこの女も。
「ねえ!紗月!やばいって!」
「なーにが…?」
「速水先生!かっこよすぎ!」
うん。
言うと思った。