君と、恋













一瞬、静まり返った教室内。


一気に向けられた、


痛いくらいの視線。





















「…紗月、呼ばれたよ?」



















「みたい、だね…はは」
























笑うしかない。


こんなこと、


予想もしていなかったんだから。


























「行って…来る」




























速水に怒りを向ける。


これで友達消えたら、


一生恨んでやる。


なんて思いながら。


英語科準備室に向かう。


























「何でここだけこんなに遠いの…」





























英語科準備室は、


普通に棟とは違う場所にあって。


教室からは死角になる場所に位置する。



























「泉川です。」




















ドアをコンコンと叩き、


名前を告げる。


すると、中から慌てた男の声。





















「…え、ちょ…っ」





















失礼します、と。


賢い生徒を演じて中に入る。


静まり返る室内。


目の前には、


思いもよらぬ姿があった。

























「あの…、」






















速水という人間じゃ


ないのかとも思ったぐらい。













< 148 / 152 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop