君と、恋
Second episode
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「紗月ちゃん?」
「あ、すいません…」
知らないうちに、
あたしは意識が飛んでいた。
「教室まで行くよ」
その優しい笑顔は、
本当はあたしに向けられる
べきじゃないのに。
あたし、何やってんだろ…。
「ありがとうございます」
あたしも、哲さんに
笑顔を返した。
特上の最高の笑顔。
玄関に入ると、黄色い声が聞こえる。
周りからたくさんの視線を感じた。
この視線にも慣れた。
哲さんに注がれた視線だから。
「今日も人気ですね」
横を見上げると、
哲さんはいつも通りの表情。
「もううんざりだね」
優しく見つめる瞳に吸い寄せられた。
あたしはこの人を、
真剣に愛さなきゃいけない。
こんなにもいい人、
他にいないんだから。
あたしは1人で決意をした。
「じゃ、また連絡するね」
そう言って哲さんは、
自分の教室に戻って行った。