君と、恋
帰り道を、哲と歩いたのは
これで2回目。
この前よりも、もっとドキドキが
増しているあたしの心臓。
手が触れそうな距離に、
少し照れてる自分がいた。
「ここだっけ?」
いつの間にか、
家の前に着いていた。
「送ってくれて、ありがと」
あたしはそう言うと、
玄関の門をゆっくり開けた。
「紗月」
背中に聞こえる声が、
少し愛しいと感じた。
「ん?」
あたしは声のする方を振り向いた。
「また明日」
さっきと同じく、
優しく微笑んだ哲に
あたしも微笑んで頷いた。
哲はゆっくり足を動かして、
自分の家へと帰っていった。
「ただいま」
あたしは哲がいなくなったのを
見てから、家の中に入った。
「紗月、おかえり」
母があたしを出迎えた。
「お母さん、ご飯…っ」
「紗月、ごめん。今日ね、柚月のクラスの集まり会があるのよ」
【柚月】とは、あたしの4歳下の妹。
「だからご飯は1人で食べて。好きなもの食べていいから」
そう言うと、母は忙しそうに
階段を駆け上っていった。
「ま、いっか…」
あたしはリビングのソファーに座って、
テレビをつけ、ポケットに入っていた
携帯を取り出した。