君と、恋
ご飯を食べ終わったあたしは、
テレビを見ながらぼーっとしていた。
その時だった。
誰か来たことを知らせる、
玄関のチャイムが鳴った。
それと同時にあたしは驚いて
肩を上下させた。
あたしは重い腰を上げて、
玄関に向かった。
「どちら様ですか?」
玄関の向こう側の人に向かって、
あたしは中から声をかけた。
だけど、一向に返事が聞こえてこない。
あたしは返事を待つより先に、
玄関のドアを開けた。
「すみません。今両親は外出…ちゅ…」
最後まで言おうと思った、普通の
言葉でさえも言えなかった。
「な、んで?」
「ごめん」
目の前にいたのは、十夜だった。
「来ないでって、言ったのに」
「どうしても…話があって」
途切れ途切れの会話が、
2人の今の状況の仲を表していた。
あんなにたくさん話してきたのに。
あんなにたくさん一緒にいたのに。
ただのお互いの恋愛で、
こんな結果になるなんて
全く思ってなかったのに。