君と、恋
今にも十夜に飛びつきたいのに。
それだけは、絶対に許されないこと。
「俺は、お前の味方だから」
本当に、十夜って男は最低だと思う。
そんなこと言うから、
また好きになっちゃうんだ。
「あたしじゃなくて、彼女のでしょ」
あたしはきっとこうやって冷たくして、
後で後悔するんだろうけど。
それでもこうしないと、
自分を保てなかったから。
「彼女…か。そうだな」
ははは、と笑う十夜の肩を
あたしは軽く叩いた。
「彼女持ちの男が、何フラフラしてんの!」
顔を笑顔にして。
明るい声で、明るい素振りで。
「早く連絡してあげなよ!彼女、待ってるよ」
「分かったよ。じゃ、また明日」
そう言って、
十夜は自分の家に帰っていった。