君と、恋
Third episode
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鏡を見ると、目は少しだけ
腫れていて昨日の泣いた量を、
表していた。
朝はいつも通りに学校に登校した。
もちろん隣には、誰もいない。
さすがの十夜も、状況を察してか
玄関で待ってはいなかった。
少し寂しい気もしたけど、
それは当然の結果だと思った。
「紗月~っ!!」
後ろから、あたしを呼ぶ声がした。
「おっはよ!」
振り向くと、そこにいたのは結衣だった。
「結衣、おはよっ!」
隣に並んだ結衣は、にこにこしている。
「…何、笑ってんの」
結衣は“気持ち悪い”、とつけたしたあたしの
前に飛び出して、足を止めた。
「あのね、今日龍司さんと買い物行くの!」
嬉しそうに微笑む結衣につられて、
あたしまで頬が緩んだ。
「本当!?よかったじゃん!」
何だか、あたしまで嬉しくなって、
一緒に飛び跳ねた。
「あたしが旅行の服買いたいって、言って誘ったの」
「そっかぁ…。んじゃ、デートだね」
あたしはちょっとからかうつもりで、
肩を突っつきながら言った。