君と、恋
何を着てこうか、
何を持っていこうか。
1人で全身鏡の前で
悩んでいた結果がこれ。
「じゃ、行ってくる!」
何とか大慌てで身支度を済ませ、
旅行用の鞄を持つと
玄関を背中に家を出た。
待ち合わせ場所へと
猛ダッシュで向かう。
こんなことになるなら、
服なんて悩むんじゃなかった。
「もう、失敗…」
こんな走るんなら、
ヒールにするんじゃなかった。
だけど負けたくなかった。
結衣にも、
十夜の彼女にも。
誰よりも可愛く
いたいって思ったから。