君と、恋
「あ、紗月!来た!」
待ち合わせ場所には
すでにみんながいた。
「ごめんね、みんな。遅れちゃって」
「全然いいよ~!さ、乗って!」
停まっていた車に
乗るように指示する結衣。
運転席には、
渋めのおじさんが座っていた。
「紗月、おはよう」
すっと隣に誰かが来たと思えば
優しい笑顔を浮かべた哲だった。
「お、おはよ!ごめんね、遅れて」
あたしがそう言うと、
哲は黙って頷いた。
「迎えに行けばよかった。俺こそ、ごめんな」
謝る必要ないのに、
優しすぎるじゃん。
「乗って乗って!」
みんなが乗り終えた後、
あたしは哲の隣に滑り込んだ。
車が発進する。
助手席には結衣。
後部座席の前の方に
あたしと哲と龍司さん。
そして後ろの席に、
十夜とその彼女。